インターネットは特許の世界にも激変をもたらした。インターネットを使ったものであればビジネスモデルであっても特許として認められるようになった。いわゆるビジネスモデル特許である。その代表的なものがAmazonのワンクリック特許(特許第4959817号)である。
この特許は大雑把に言えば、ECサイトで注文のボタンを押せば決済が完了するという、極めてシンプルなものである。というよりもそんな内容で特許が取れるのか?という感想は否定できない。実際各国の特許庁でも対応はまちまちで、ヨーロッパでは当たり前すぎるとして認められなかったらしい。日本でも内容を少し変えて申請したようだ。
私自身この特許を「ワンクリック ジェフ・ベゾス率いるAMAZONの隆盛」を読んで知り、特許に関する考え方が大きく変わった。インターネットという分野において特許が非常に柔軟な捉えられ方をしていることと、シンプルな特許ほど最強だということである。Amazonはこの特許によって莫大な特許使用料と競合を排除することができた。2017年に日本のワンクリック特許は期限が切れたので効力はないが、Amazonの成長に大きく寄与しただろう。
個人的意見だが、ワンクリック特許にはより早くより簡単でより便利なECサイトを構築するというAmazonの信念が現れている。また一見荒唐無稽な案も実際やってみるかどうかが天才と凡人の差でもある。